コロンブスによるアメリカ「発見」?「到達」?
最近、授業でコロンブスについての英文を読みました(タイトルはColumbus:From Hero to Fall Guy)。この話が意外と興味深かったのでシェアしたいと思います。ちなみにこの話はアメリカの歴史家が書いたものになります。
あなたは次の空欄にどちらの言葉を入れるでしょうか?
①を発見 ②に到達
最近の児童や生徒はアメリカ到達と教わっていると思います。でも僕は発見と習った気がしなくもないです。つまり、昔は発見と教えられていたものの、最近は到達と教えられているようです。
史実として、コロンブス以前にヴァイキングや他のヨーロッパ人がアメリカに到達していたとされています。ではなぜ今まではコロンブスがアメリカを「発見」したとされていたのでしょうか?
それはコロンブスがヨーロッパ中にアメリカ大陸の存在を知らしめたからです。そして19世紀までは、コロンブスは進歩や啓蒙の先駆者として、政治や宗教、社会的地位に関係なく称賛されていました。そう、19世紀までは。
20世紀に世界で何が起こったか。そう、2度にわたる世界大戦ですよね。ここでコロンブスに対する評価が180度変わることになります。それはなぜか。非白人国家(ヨーロッパ以外の国家)が国際的な地位を持ち始めたからです。日本もその1つであり、中国もそうです。ここからコロンブス批判が始まるわけです。
全米教会組織やカナダ政府などのさまざまな組織、著名人などがコロンブスを批判し始めました。
どんな批判がなされたかというと
①アメリカ「発見」という言葉はヨーロッパ中心主義に基づいた考えであり不適切であること
②コロンブスはアメリカに到達しただけでなく社会基盤をも破壊し、資本主義を導入させ、大量虐殺をした悪人であること
などです。
コロンブス到達以前のアメリカは寺や暦、素晴らしい統治機構など文化的に優れた理想郷であり、みんなが幸せに生活をしていたと南北アメリカの人は主張します。
しかしここで著者がコロンブス批判への再反論を始めるわけです。コロンブス到達以前のアメリカも残虐な殺戮をしていたし、内戦をしてばっかりだったのだから理想郷なんていうのは全くの嘘だと。(でもヨーロッパ人が社会基盤を破壊したのは事実)
そこで、現在では、コロンブスを称賛、批判する人それぞれいるが、実益のない議論だと著者は言っているわけです。なぜならコロンブスを道具として使ってお互いに自分たちの意見を主張したいだけだから。
ヨーロッパ側の主張としては「アメリカ侵略はアメリカの発展にはやむを得なかった」というもの。
北アメリカの主張としては「コロンブス到達以前は調和した世界だったのにコロンブスによって理想郷を壊され、あらゆるものを奪われた」というもの。
南アメリカは「コロンブスによる破壊のせいで安定した素晴らしい民主主義を確立できなかった」と主張。
これらに対して、「国家としての傲慢なプライドを捨てて、自国を自分で検証するべき段階に来ている。なぜなら自国しか自国のことはわからないのだから。」と著者はまとめています。
以上が本文の内容でした。コロンブス称賛批判の話かと思っていたら最後の終わり方が意外でとても面白かったです。
今日はここら辺で。ではでは。
前回の記事はこちらから。
今回のお話はこの本に載っています!